言語と思考(春学期)
先端導入科目-環境情報-生命と身体 (学部) 2単位
担当教員:今井むつみ
開講日程:木曜日3時限
>シラバス参照 ※CNSアカウントが必要です。
授業概要
言語は人間の知の象徴であり、言語の存在が人間に高度に複雑かつ抽象的な思考を可能にしている。
この授業では認知科学における言語についての幅広いトピックをとりあげる。
取り上げるトピックは言語と概念、母語と外国語学習、言語と思考の関係、言語と脳などである。
今年は特に認知科学からさまざまな外国語学習を考えることを大きなテーマとする。
授業は講義が中心であるが、大規模コーパスを用いた意味分析の方法の演習なども行う予定である。
授業中にパソコンを使用する回が数回ある予定。
また、言語心理学の実験に被験者として参加し、認知心理学の実験手法を学ぶ。
評価の方法
レポート(小レポートを2,3回)と試験
その総合得点が75%、出席その他平常点25%の割合で評価します。
(今井研究室で行なう実験参加を含む)
履修上の注意
授業の進行具合やゲストスピーカーの都合などにより、
授業計画の一部の日程が入れ替わったり内容が変更されたりします。
授業計画
1. 授業ガイダンス 心(脳)の中の辞書I
認知心理学、言語心理学の様々な実験を紹介しながら、
人が心に持つことばの辞書(メンタルレキシコン)の性質、構造について議論する。
2. 心(脳)の中の辞書II
脳の中の辞書はどのような情報が書かれているのか。名詞、動詞、形容詞などの品詞ごとに考察する。
3. 心(脳)の中の辞書III
メンタルレキシコンの意味ネットワークについて
(メンタルレキシコンの中で単語動詞がどのように関連しているか)議論する。
ワードネットを使った演習を行う。(パソコンを使います)
4. 言語と認識 : 言語カテゴリーの多様性
世界の様々な言語が言語によって世界を区分していく際の多様性を紹介する。
5. 言語と認識 II :言語と認識の関係
言語と認識の関係について議論する。
言語が切り分けるカテゴリーの認識が完全に一致するのか否か
という問題を心理学の実験の結果により議論する。
6. 言語と認識 III :言語と認識の関係
記憶、知覚など日常の認知において言語がどのような影響を与えるかを考察する。
7. ことばの学習と思考の発達
思考の発達とことばの関係について考察する。
ことばを学ぶことによって思考がどのように変容するのか。
8. ことばの学習と思考の発達II
リテラシーの学習が子どもの思考をどのように変えるのか
9. 外国語学習と教育への示唆
外国語の語彙を学習することは概念を再構築することである。
この概念の再構築のプロセスの詳細を議論する
10. 外国語教育への示唆
外国語を学習するのに最適な時期はあるのか、
どのように学習すると最適な効果が得られるのかなど、
認知科学の成果からよりよい外国語学習、外国語教育について提案する