ABLEは教育にイノべーションを引き起こすために、志ある人々をつなぐ国境を越えたコミュニティです。
今回は、世界指折りの教育先進国スイスで国の科学教育カリキュラムをデザインする世界的に著名な教育心理学者お二人をゲストにお迎えします。大人の科学リテラシーということが問題になるように、実はごく基本的な物理のメカニズムですら、私たちは誤った理解をしていることに気づかないまま暮らしています。これは子ども時代の経験や観察によって形成された思い込みを克服できないことに起因しています。
今回のABLEでは批判的思考と探究力を育む科学教育について考える豪華プログラムを用意しました。
ゲストのエルスベス=スターン教授とラルフ=シュマッハー センター長は、 認知発達心理学の理論に基づいて思い込みを克服するための探究型の教育法をデザインし、多くの学校で実施しました。今回、この教育実践の紹介とともに、その背景となる理論・効果についてレクチャーします。 >> 講演概要
セッション2では、中央教育審議会で教育改革を進めている安西祐一郎学術振興会理事長から、セッション1でのエルスベス=スターン教授とラルフ=シュマッハー センター長はのスイスの実践を受けて、日本の教育の方向性についてお話しいただきます。
パネルディスカッションではセッション2でお話いただいた安西祐一郎先生、前回のABLEにもおいでくださった批判的思考の研究の第一人者、楠見孝先生とABLE主催者の今井むつみが、批判的思考と探究力を育むための教育についてフロアのみなさんとともに議論します。
認知科学の理論に基づいた授業デザインについて学び、誤った思い込みを 学び手が自ら修正し、探究し続けてゆくための方法をいっしょに考えましょう。多くの方々のご参加をお待ちしています。
ABLE 主催者一同
Elsbeth Stern
スイス連邦工科大学チューリヒ
教授
認知心理学者。専門は科学と数学の学習について。1987年にハンブルク大学で博士号を取得した後、ドイツのマックスプランク研究所で心理学の研究に従事。1994年に、ライプニッツ大学で教育心理学の教授就任。1997年にはベルリンのマックスプランク研究所の人間発達科学研究所で科学の認識と科学教育についての研究グループを率いる。2006年10月から、スイス連邦工科大学チューリヒの学習と教授の研究科で教授となり、教師教育プログラムのヘッドとなっている。2012~2015年には、人文社会・政治科学学部の学部長を務めた。また、影響力のある学術論文や書籍を幅広く執筆し、様々な学術雑誌の委員にもなっている。さらに、学びについての認知神経科学の可能性と限界についての国際的な議論に関わり、広い影響を与えている。
Ralph Schumacher
スイス連邦工科大学チューリヒ
MINT-学習センター 所長
認知科学者。1994年にドイツのミュンヘン大学で哲学の博士号を取得。ベルリンのフンボルト大学で教授に就任した後、アメリカのプリンストン大学とテンプル大学で研究を行った。2007年からスイス連邦工科大学チューリヒのMINT-学習センターの所長として学校改善についての研究を行っている。
Yuichiro Anzai
日本学術振興会会長
文部科学省高大接続改革プロジェクト
チームリーダー
前慶應義塾大学塾長。慶應義塾大学大学院工学研究科博士課程修了、カーネギーメロン大学人文社会科学部客員助教授、慶應義塾大学理工学部教授、学部長、塾長を経て、慶應義塾大学理工学部名誉教授。専門は認知科学・情報科学。現在は文部科学省高大接続改革プロジェクトチームリーダーも務める。主著に「問題解決の心理学 ― 人間の時代への発想」などがある。
Takashi Kusumi
京都大学大学院 教育学研究科
教授
1987年学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻博士課程退学。博士(心理学)。学習院大学助手、筑波大学講師、東京工業大学助教授、京都大学助教授を経て、2007年より現職。批判的思考の研究の第一人者。教育現場や企業の思考・意思決定プロセスについて基礎研究や実験をつなげる研究を行っている。
Mutsumi Imai
慶應義塾大学 環境情報学部
教授
1989年慶応義塾大学大学院博士課程単位取得退学。1994年ノースウェスタン大学心理学部Ph.D.取得。専門は認知心理学、発達心理学、言語心理学。幼児の言語や概念の発達、認知科学の立場から学びの仕組みを明らかにする研究を行っている。3月には新著『学びとは何か―〈探究人〉になるために』(岩波新書)を上梓。
Chikara Ichikawa
東京コミュニティスクール
探究プロデューサー
1990年渡米後13年間に渡り、日本人駐在員の子どもが通う学習塾を運営。2003年に帰国後、バイリンガルの子どもを育てる難しさに直面した経験をまとめた著書『英語を子どもに教えるな』(中公新書ラクレ)が大きな反響を呼び重版を続ける。2004年8月より東京コミュニティスクール初代校長就任。グローバル時代をたくましく、しなやかに生きるために必要な「探究力」を育む実践・研究を続けている。
日時
2016年7月30日(土)
12:30開場 13:00開始
会場
株式会社内田洋行東京本社
ユビキタス協創広場 CANVAS 2F
住所: 東京都中央区新川2-4-7
東京メトロ 日比谷線「八丁堀駅」下車、「A4」出口より徒歩4分
東京メトロ 日比谷線・東西線「茅場町駅」下車、「1番」出口より徒歩5分
JR京葉線「八丁堀駅」下車、「B2」出口より徒歩6分
定員
120名
参加費
一般 ¥3,000
学生 ¥1,000
*情報交換会でのフード・ドリンク含む。
*当日受付でお支払いください。
12:30 | 開場 |
Over View 13:00 - 13:30 |
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オープニング |
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Session 1 13:30 - 15:30 |
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科学・数学における概念変化と探究を促す教育実践と理論 >> 講演概要 |
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15:30 - 16:00 | コーヒーブレイク |
Session 2 16:00 - 16:30 |
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日本の教育の方向性について |
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Pannel Discussion 17:00 - 18:00 |
パネル ディスカッション |
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Closing 18:00 - 18:10 |
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18:20 - | 情報交換会・懇親会 |
人間は誰しも、幼少期のなんらかの思い込みによって生まれた誤認識を大人になった現在でも多かれ少なかれ持っています。今回のABLEでは、それらを見つめ直し、批判的思考・科学的思考を成長させる教育とは何かを考えます。
頭は思考の象徴として、 花は経験や教育から育ててきた私たちの知識や教養を表しています。この花には、いつか朽ちてしまうという表現の意図も含まれています。
そして向かって左半分は誤認識をもったままの思考の停滞状態を、 右半分は正しい知識や教養を使って育てられた私たちの思考力をそれぞれ左無彩色、右有彩色で表しました。
この状態が現在の私たちの姿です。
しかし私たちはここで停まることなく、思い込みの誤認識を修正していくことができます。無彩色の領域を鮮やかに美しく色づけていくことができます。それを可能にするのが探究です。
今回のポスターは、このコンセプトを表しました。
主催
ABLE事務局
慶應義塾大学 今井 むつみ、大庭 真人、江部 正周、白石 響、村松 明日香
東京コミュニティスクール 市川 力、山崎 智仁
大木 慎也
ソニー株式会社 小俣 貴宣
平丸 康之
佐宗 邦威
松石 悠
>> 過去のABLEについてはこちらをご覧ください。
特別協力
株式会社内田洋行 教育総合研究所