育 む

ABLE2019



October
2019.10.27
詳しく見る


次回のABLE(2020.2.22)のゲストは、トゥルク大学マアリット・シルベン(Maarit Silvén)教授です。

今回のテーマ

ABLE -Agents for Bridging Learning research and Educational practiceは、認知科学を中心にさまざまな領域の研究者、教育実践を日々行っている人々、社会変革の担い手となるべく強い思いを抱いている人々とを橋渡しし、学びについての理論、知識、経験をシェアし、新たな学びと教育のありかたを創造してゆきます。今回は、思考研究の中でも類推(アナロジー)の世界的な権威であるゲントナーさんをゲストにお招きし、「考える力を育む教育」をテーマに開催いたします。来年度にいよいよ始まる新しい大学入試の中心となられている安西祐一郎先生、鈴木寛先生にもご登壇いただき、鼎談およびパネルディスカッションを行います。これからの社会で幸せに生きていくために最も大事な思考する力とは何か、その力を育てるためにどうしたらよいのかを認知科学のエビデンスとともに深く考えます。


 皆さんとABLEでお会いできることを楽しみにしております。お待ちしております。

ABLE 主催者一同


メイントーク 概要

How children learn complex concepts

Abstract relational concepts, such as ‘carnivore’ or ‘proportion’ are central in science and mathematics, as well as in everyday reasoning (e.g., ‘tradeoff’ and ‘compromise’). Yet they are far more challenging to children than concrete concepts like ‘cat’ or ‘spoon.’ Thus a key question in education is, How do children come to learn and reason with abstract relational concepts, and how can we best support this learning? I suggest that there are two major forces in relational learning: analogical comparison and language. Analogical comparison between two examples engages a structure-mapping process (Gentner, 1983, 2003) that fosters relational learning. Structure-mapping aids learning in at least three different ways. First, it highlights common relational systems; second, it reveals potentially relevant differences (alignable differences); and third, it promotes new inferences from one situation to the other. Language plays a critical role in relational learning, by inviting analogical comparison and by helping children retain and transfer relational concepts. To illustrate these points, I will describe research on the process of analogical comparison and how it fosters learning. I will also describe ways in which parents and teachers can harness this powerful learning mechanism to help children learn.

子どもはいかに複雑で抽象的な概念を学ぶことができるようになるのか?

 抽象的な関係の概念(例えば「肉食」とか「割合」など)は、科学や数学の核ですが、日常生活の中でも欠かせません。たとえば「トレードオフ」や「妥協」など)。しかしこのような概念は子どもには理解するのが難しく、関係性が理解できないために躓いてしまう子供が多数います。では、子どもはどのように関係性概念を学ぶことができるようになるのでしょうか?そして私たち大人はどのように関係性概念の学習を支援することができるのでしょうか?   私は、関係性の学習には、二つの力が大きな役割を果たすと考えます。それは、類推による比較と言語です。類推による比較は、すでに学習した事柄とこれから学習しようとする事柄の全体構造を捉え、共通部分を対応付けることで、抽象的な関係性の構造を理解することを促し、同時に二つの事柄の重要な差異を浮き上がらせます。また、新しい問題を解決するための推論も促します。言語は類推による比較を促し、関係性を見つけたり、保持する助けとなります。その意味で言語は関係性の学習になくてはならない役割を果たします。今回の講演では保護者や教育者がどのようにこの関係性の概念の学習を支援できるのかを長年の研究のエビデンスを示しながらお話します。

ゲスト・登壇者





1974年カリフォルニア大学サンディエゴ校にて心理学の博士号を取得。類推に関する研究の第一人者として、特に関係性の類推における著名な研究者として知られる。他にも研究テーマは「学習と思考」、「類似性とメタファー」、「概念と概念構造」、「言語と認知」、「言語獲得、「多言語比較」と多岐に及ぶ。世界の多くの学会においてFellowに選出される一方、人間の認知機構の解明に対する貢献が認められ、認知科学のノーベル賞とも言われるルーメルハート賞を2016年に受賞。





1974年慶應義塾大学大学院工学研究科博士課程修了。カーネギーメロン大学客員助教授等を経て1988年慶應義塾大学理工学部教授、2001-09年慶應義塾長、2011-18年日本学術振興会理事長。現在ユネスコ国内委員会会長、全国大学体育連盟会長、内閣府人工知能戦略実行会議座長等を兼務。中央教育審議会会長、高大接続システム改革会議座長、科学技術・学術審議会委員等を歴任。認知科学・情報科学専攻、40年余にわたり学習・思考・社会的相互作用の基礎研究を続けており、2018年認識論の研究で博士(哲学)の学位を取得。






1986年東京大学法学部卒業後、通商産業省入省。情報処理振興課総括課長補佐として、情報教育のモデルを作る100校プロジェクト、教科「情報」の導入などにも携わる。電子政策課総括課長補佐として、情報政策のグランドデザインを企画・総括後、慶應義塾大学環境情報学部助教授に転身。情報社会論、政策デザイン論などを担当するとともに、コミュニティ・スクール構想などを提案。2001年より参議院議員を12年。その間に文部科学副大臣を2期務め、高等学校授業料無償化、希望者全員奨学金貸与、デジタル教科書、東日本大震災対応、OECD東北スクールはじめアクティブ・ラーニング導入などに従事。2014年2月より、慶應義塾大学政策・メディア研究科教授に就任(東京大学公共政策大学院と同時就任 日本初の国立・私立クロスアポイントメント)。2014年10月より文部科学省参与、文部科学大臣補佐官(四期)。高大接続改革、新学習指導要領策定、新たな大学入試制度導入に従事。




1989年慶応義塾大学大学院博士課程単位取得退学。1994年ノースウェスタン大学心理学部Ph.D.取得。専門は認知心理学、発達心理学、言語心理学。幼児の言語や概念の発達、認知科学の立場から学びの仕組みを明らかにする研究を行っている。数多くの学術論文を国際誌に発表し、Cognitive Science Society(国際認知科学会)のFellow, Governing Board Memberに選出されている。『ことばと思考』(岩波新書)、『ことばの発達の謎を解く』(ちくま―プリマ―新書)などの一般書も発表。『学びとは何か―〈探究人〉になるために』(岩波新書)は、これからの学び・教育への理論的指針を与える本として各方面から注目を集めている。




大学院卒業後、キヤノン株式会社入社。専門である認知科学・行動科学の知識を活用し人間中心設計に関する業務などを推進。2010~2012年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校心理学部にて客員研究員。人の創造性や推論に関する研究に取り組む。帰国後、東京大学にてPh.D.取得。その後、国内コンサルティングファームに転職し、民間企業を対象とした心理学の産業応用支援や人間中心設計・ユーザエクスペリエンスに関するコンサルティング業務に従事。2016年4月より現職。文部科学省科学技術動向研究センター専門調査員。2017年iF Design Award 受賞。心理学を学んだ人材の活躍機会の創出と拡大を目指し活動している。

開催情報

日時

2019年10月27日(日)
12:30開場 13:00開始

会場

株式会社内田洋行東京本社
ユビキタス協創広場 CANVAS 2F

住所: 東京都中央区新川2-4-7
東京メトロ 日比谷線「八丁堀駅」下車、「A4」出口より徒歩4分
東京メトロ 日比谷線・東西線「茅場町駅」下車、「1番」出口より徒歩5分
JR京葉線「八丁堀駅」下車、「B2」出口より徒歩6分

定員

120名

参加費

一般 ¥5,000
高校生・大学生 ¥2,500

*フード・ドリンク込み。
*当日受付でお支払いください。

タイムテーブル *進行の都合上、時間は変更になる場合がございます。
12:30 開場

13:00 - 13:15
オープニングトーク
今井 むつみ 慶應義塾大学教授

13:15 - 15:15
メイントーク
子どもはいかに複雑で抽象的な概念を学ぶことができるようになるのか?
Dedre Gentner ノースウエスタン大学心理学部教授
*通訳つき
15:15 - 15:45ブレークタイム

15:45 - 17:45
トークディスカッション+フロアディスカッション
安西 祐一郎 独立行政法人日本学術振興会顧問
鈴木 寛 慶應義塾大学教授
今井 むつみ 慶應義塾大学教授
小俣 貴宣 (モデレータ)
ソニー株式会社 R&Dセンター シニアコグニティブサイエンティスト

17:45 ー 18:00
クロージング
大久保 昇 株式会社内田洋行社長
18:15ー19:15 情報交換会・懇親会 (B1F)

ABLE2019 October ポスター

Designed by 垣内晴


ポスターはこちら

ABLE2019 October 映像


オープニング・メイントーク






メイントーク質疑応答

主催・協力

主催

ABLE事務局
 慶應義塾大学 今井 むつみ
 事務局 大庭 真人(慶應義塾大学), 山崎 智仁(東京コミュニティスクール)
 
>> 過去のABLEについてはこちらをご覧ください。

特別協力

株式会社内田洋行 教育総合研究所